ある飲食店のお誕生日企画

数年前、ある飲食店で食事をしていたときのことです。
知人と楽しく談笑していたところ、いきなり店内全体が暗くなり、スタッフ数人でケーキを持参しながらバースデーソングを歌い始めたのです。
どうやら店内に誕生日のお客様がいるようで、そのお客様を祝うための誕生日企画でした。
誕生日のお客様は少し恥ずかしそうな表情で、スタッフが持ってきたケーキのローソクの火を消しました。
その瞬間、同じテーブルの人やスタッフが笑顔で拍手をしました。
それにつられて私も拍手しました。

最近、このような企画をするお店が増えていますが、「この企画、誰が嬉しいの???」と感じてしまいます。
一応、その場の空気を読んだ私は拍手をしましたが、拍手をしている相手って誰?
今まで見たことも会ったこともない見知らぬ人に対して、なぜ拍手しなければならないの?
そもそも年齢すら知らないし…。笑
複雑な気持ちになりました。
まわりのお客様も同様で、ほとんどの人が微妙な表情で拍手をしていました。

また、誕生日のお客様も嬉しいのかな~?
親や友達から祝われると嬉しいかもしれないけれど、見知らぬ人から祝われても私はそんなに嬉しい感情は芽生えません。
もちろん、その場では嬉しい表情をするでしょう。
たくさんの人から拍手されているわけですから、悪い気持ちはしません。
でも、心の底から嬉しい感情は芽生えません。

そして、一番重要なことは、他のお客様の楽しい会話が中断されること。
飲食店に行く目的は、美味しい料理を食べることと楽しい会話をすることだと思います。
その1つの楽しみを、瞬間的ではありますが強奪されるようなものです。
本当に誕生日のお客様を祝いたいのであれば、他のお客様を巻き込まず、スタッフさんだけでこっそり祝ってあげればいいのでは?
そのほうが嬉しい気持ちが高まります。

ちなみに、ある美容室では、お客様の誕生日の日に届くように毎年花束を贈っています。
PRやお店の宣伝は一切なし。
ただ純粋にお祝いしているのです。
そのお店は長年商売繁盛が実現しています。

お客様が心の底から喜ぶ企画を考えてみませんか?